明治学院礼拝堂(白金チャペル)のパイプオルガンについて

明治学院では、2006(平成18)年から実施された礼拝堂耐震修復工事にあわせ、プロテスタント教会の原則である「そこにいる全員が歌う」ための伴奏が可能で、学院の諸行事に相応しいパイプオルガン制作を開始しました。パイプオルガンの制作はオランダ人のヘンク・ファン=エーケン氏に依頼。準備期間を含めると約10年の歳月を費やして完成しました。2009(平成21)年10月、新しいパイプオルガン設置の奉献式が挙行されました。

チャペルの修復とパイプオルガンの設置にあたりましては、学院関係者ならびに多くの方々からチャペル・オルガン募金に協力いただきました。

このオルガンの特徴は、パイプオルガンの制作の黄金時代だった17~18世紀の工法を全て再現した「バッハの時代の音色」という点であり、この工法で作られた20世紀以降のオルガンとしては世界で4台目、日本で最初のオルガンとなっています。17~18世紀の工法による2045本のパイプ、2段の手鍵盤と足鍵盤、6つの鞴(ふいご)で構成され、木質部分はすべて無垢のオーク材を用いた、総重量11トンの“工芸品”ともいえるオルガンです。

オルガンは「設置=完成」ではなく、今もまるで生きもののように、音の成長を続けています。同じ曲でも、音色に変化をつけて違うイメージを作ったり、発音のスピード、音の終わらせ方など、演奏者によって異なる音を楽しんだり。弾く者も聴く者も、絶えず変わるオルガンを守り育て、明治学院礼拝堂に広がる音楽に立ち会う喜びを共にしてきました。明治学院ならではの試み、「オルガン講座」でも多くの受講生がこのオルガンで練習を重ね、成果を発表しています。

2011年5月には巨匠、グスタフ・レオンハルト氏のリサイタルを開催。氏はまるで子どものように夢中でこのオルガンと親しみ、オルガンという楽器の深さと感動を伝えてくれました。

明治学院礼拝堂のオルガンがこれからどのような成長を続け、どんな歌を聴かせてくれるのか、その響きがもたらす楽しみと喜びを皆様と分かち合うことを心待ちにいたしております。